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時差症候群と体内時計 その2 2011.06.07

いつになく長く感じられた移動は、特に問題もなく終わった。だが、荷物の受取りで、また勘違いをしてしまった。成田空港での搭乗手続きの際、係の女性が「荷物はフランクフルト空港で受取って下さい」と言ったので、私は空港内で受取れると思っていたのだが、いつまで経っても出て来ない。タグを確認したらQKL(ケルン)となっている。

またやってしまった。これは以前にも何度か書いたのだが、フランクフルトとケルン間には、ドイツ鉄道の新幹線にエアレイル/AirRailというルフトハンザの専用車両が接続されているため、荷物は空港の外にあるドイツ鉄道の長距離新幹線駅の中で受取れるのである。そこには、ほとんど係官がいない税関もある。

空港の係員に訊くと、やはり私の荷物は駅まで運ばれているという。これはとても便利なように見えるのだが、空港を出て、しかも駅まで距離があるから、荷物が出てくるのがやけに遅い。新幹線は1時間に2本くらいあるから、来た電車にすぐ乗りたい私としては、空港内で受取って、駅まで荷物と一緒に移動した方が早いのである。

成田空港で確認しなかった自分がいけないとはいえ、何だかいつも慣れている移動の流れが阻害されてしまい、私は行き場のない不機嫌さを消化しきれないまま、吹き出る汗をひたすら拭きながら荷物が出て来るのを待った。自分への嫌悪感と汗が少し収まった頃、荷物が運ばれて来た。次の新幹線は10分後だ。どうやら間に合いそうだ。

ホームに降りると、電車はすでに来ていた。フランクフルト駅発、ケルン中央駅行きの新幹線である。荷物が置ける近くに席が一つ空いていたので、運良く座れた。ケルンまで1時間である。駅に降りてみると陽射しが強く、かなり暑かったが、夕方、にわか雨が降り、急に気温が下がった。そのお陰で、部屋の熱気も少し和らいだ。

ところで先日、一般的に、空路での東行きと西行きを比較すると、東行きの方が時差と体内時計のずれが大きくなり、時差ぼけにも影響を与えるのかもしれないというようなことを書いたが、実は東西方向の違いが問題なのではなく、出発時刻と目的地への到着時刻にかなり左右されているのではないかと思うようになった。

先日、東京に早朝に着く便を利用したときには、その日は夜まで終日起きていたから、その後も移動の疲れがずっと残ったままのように感じられたが、目的地に、午後、あるいは夕方に着く場合だと、早朝に着く便よりも身体を休めるまでの時間が短いので、時差ぼけも早く解消されるような気がするのである。

昼にドイツを発ち、日本時間の早朝に着く便だと、機内では眠くならないから、不眠の状態で日本に到着し、その日もつい活動をしてしまう。でも、ドイツを夜に出発する便だと、どうしても眠くなるから、ある程度の睡眠を確保できるし、日本には夕方前に着くので、その日は夜まで楽に過ごすことができる。

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