時差症候群と体内時計 その3 2011.06.08
そこで、いまさらながら、時差ぼけについて少し調べてみたら、医学的には「時差症候群」と呼ばれているらしいということがわかった。「ぼけ」ということばは、漫才でも使われるが、真面目な話の中では、あまり使うべきではない面もあるから、「時差症候群的睡眠障害」とでも言い換えた方が良いかもしれない。
それらの記述によると、良く言われるように、東行きよりも、西行きの方が身体への負担が小さいらしいという指摘が実に多い。人間の生体機能は、約24時間を一周期とする体内時計によって動いており、それが時差によってずれる場合、一日の身体の周期を後退させる方が、前進させるよりも、生体機能への負担が少ないからだという。
そう言われてみると、例えば冬時間から夏時間に変わるときは、身体の周期を前進させることになるため、わずか1時間でも意外と辛いが、冬時間に戻るときは、まったく辛くはない。単純に考えれば、睡眠時間は同じだとしても、朝起きる時間を一時間早めるのと、遅くするのでは、どう考えても後者の方が順応しやすいことからもわかるだろう。
他にも、いろいろ調べてみると、人間というのは、夜更かしをすることは意外と可能だが、早寝するのは難しいとも書かれている。それは人によっても違う気もするが、確かにそういう面はあるかもしれない。子供が親から「早く寝なさい」と言われても、大抵の場合は、寝ないのと同じなのだろうか。
ともかく、東行きと西行きでは、西向きの方が体内時計を調整しやすいらしいということが改めてわかったが、だからといって、常に東行きの場合は辛くて、西行きだといつも楽だというわけではなく、私が先述したように、移動時間と到着時間の違いも実は大きく関係しているのではないかと思うのである。
東西、どちらの方向に移動するにしても、目的地への到着が夕方くらいになる行程の方が、結局のところ身体に与える影響が少ないといえる可能性はありそうだ。だから、時間が進んでいる方への移動の場合、常にその目的地の時間に合わせるのが難しいのではなく、むしろ着いた時間の方が問題になるのように思うのである。
最後になるが、時差ぼけの対策として、出発前に睡眠を十分にとっておくことが大切だと書かれているのを見た。それが理想だが、そんなことができる人は、まずいないだろう。ほとんどの人が、その真逆ではないかと思う。時差症候群について調べながら、移動のあとの微妙な心地良い疲れも悪くないと思ったりするのであった。