理念 建築 略歴 連絡
文章 視察 還流独歩 大福企画
還流独歩

木造住宅を手がける建設会社 その1 2011.06.09

ケルンの東に位置するベルギッシュ・グラートバッハという街にある、主に木造住宅を手がける工務店を訪問する機会を得た。先月、自分で調べるのと平行して、友人の建築家にも問合せを入れていたら、偶然にも同じ建設会社の名前が出て来たのである。これまで電話で何度か連絡を取り合って来ており、今日、初めての訪問に至った。

ドイツの建築は、組積造が大半を占めており、木造建築の割合はまだ少ない。その比率は、一般的に戸建て住宅の需要の15%から20%だと言われており、地域によってもある程度の差はあるようだ。ただし、急勾配の屋根部分は木造で組むことが大半だから、組積造といっても部分的には木が使われている。

この建設会社は、20年程前に太陽熱利用などを手がける会社として発足したのだが、この10年間に木造住宅の建設を中心に行なっているという。ただ、会社そのものは大きくはなく、新築の住宅に限っていうと、年間で10棟程度を手がけており、その他にも木造の増築などの仕事も受けているという。

今回は、日本で木造住宅を建設会社の方と一緒に訪問したので、最初は訪問の目的や、背景的なことを話していたが、壁の断面模型を使っての技術的な話になると、建築という物ずくりに携わっている人同士、やや力が入ってしまうのか、説明と質問が休みなく行き交うことになる。慣れてはいるものの、早いドイツ語について行くのは大変だ。

この会社の木構造は、建設現場に搬入する前に工場で壁を作成し、それを現場で組み立てる構法である。いわゆるパネル式構法であり、これはドイツで一般的に用いられており、細かな仕様は各会社によって多少は異なるものの、木造建築を手がけているところは、ほぼ同様の手法を採用している。

日本の住宅と大きく違うのは壁の厚さだろう。この会社の標準仕様は、間柱の役割をする部分の厚さが240mmで、その外側に、さらに厚さ60mm程度の断熱材を施している。つまり断熱材だけで300mmである。しかし、これはもはやドイツでは一般的な厚さと考えて良いだろう。暖房が主体の国の進化は目覚ましい。

« »