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還流独歩

束の間の夏到来 2011.06.27

天気予報通り、今日は朝から晴れ間が広がって、午後には気温が30℃近くまで上がった。屋根裏階のこの部屋は、夏のこの時期、晴れて気温が上がると温室のようになる。日本のように湿度が低いから、風が入ってくれば少しはしのぎやすいが、それでも暑いことには変わりない。でも冷夏になるよりかは遥かに良いだろう。冷房設備が完備されているのは、不特定多数の人が来る百貨店とか商業施設、スーパーマーケット、ホテルくらいだ。もっとも、最近の事務所ビルには放射式の冷暖房設備が備えられているが、古い建物に入居している事務所には冷房などない。「暑くて仕事にならない」と言ってるくらいが、ドイツの人にとって正しい夏なのだ。天気状況を見ると、今日はドイツ国内のほとんどが晴れていて、南西側の方は30℃を超えている。

今日は作業をしていても、お尻が熱くて仕方がない。喉も乾くので、紅茶をたくさんつくり、少し冷ましたのを頻繁に飲む。じっとしていると暑いので、そのたびに立ち上がって室内を徘徊する羽目になった。夕方、買物に出る。階段室を降りて行くと、徐々に涼しくなるのがわかる。気温の日較差が大きく、また石造だから蓄冷されているのだろう。そこから一歩外に出ると、気温が異様に高いのがわかる。おそらくこの夏一番の暑さだろう。西日もきつく、歩いていると汗が出て来る。それでも湿度が低いから、日陰を歩けば少しは涼しく感じられる。近くの文房具店にカッターの替え刃を買いに行くが、何軒か回っても見つからない。日本のコンビニエンスストアであれば、どこにでも置いてありそうな小型のカッターが簡単に買えない現実。諦めてスーパーで食料を調達する。

帰って来てから、放射温度計で内壁の温度を測ってみた。傾斜した屋根の内側は30℃である。頭の方から何となく熱気が感じられるのは、そのせいだろう。バルコニー出て、試しに屋根瓦の表面を調べてみたら28℃だった。つまり屋根の表面で温められた熱が、屋根の中を抜けて、徐々に内側へ伝わって来ていることがわかる。築130年だし、改修のときに断熱材も入れたとは思うが、どれくらいの厚さなのかはわからない。夕方になり、外は涼しくなって来ているのに、部屋の中は妙な暑さがこもっている。中庭を挟んだ反対側の屋根裏部屋に住む人も天窓を全開にしているから、同じように暑いのだろう。南側と北側の窓を全て開け放ち、天窓も大きく開けて風を取り込むと、少しだけ涼しくなった。通風が少しでも得られると、暑さが和らぐのがわかる。

天気予報では、この猛暑のような天気は、今日と明日の二日しか続かないらしい。明日火曜の最高気温は33℃で、さらに暑くなるが、水曜は20℃にまで一気に下がり、それ以降は、気温が低い不順な天候が再び続くようだ。もう少しちょうど良い暑さにならないものだろうか。実に落ち着きのない天候である。今年の夏は、このような突発的な暑さがときどき来るだけで終わってしまうかもしれない。明日は作業をやめて、どこかに出かけた方が良いのではないかと思う。まさに「いつまでも太陽が見れると思うなドイツの天気」そのものである。

加筆訂正:2011年6月28日(火)

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