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ドイツ語の複数形 2011.07.02

何の予備知識もなくドイツ語を習い始めたのは1995年の秋だっただろうか。通常、大学では第二外国語として、ドイツ語かフランス語などが必修であるところが多いようだが、母校では実験などの実習が多かったため、英語以外の外国語は選択科目であった。だから興味もない外国語を無理矢理に習得させられることによる精神的苦痛を受けなかったのは、ある意味において幸せだったのかもしれない。

ドイツ語を習い始めて、まず驚いたのが名詞の複数形の複雑さだった。変化の仕方が、大雑把に分けて5種類もあることに驚愕した。これは英語とはかなり異なる言語であり、習得するには予想以上に手強いことも実感した。英語の複数形を分類すると「s」「es」「ies」「ves」「child > children」というように、同じく5つくらいに分けられるが、ドイツ語の場合の5種類は、どうやらそんな生易しいものではないことが、逆に新鮮な驚きとなった。

こんなところでドイツ語の講義をするつもりなどないけれど、当時、感じた私の驚きに少しお付き合い頂くのも良いかと思う。名詞の複数形の変化が5つに分けられると書いたが、それは大きく分けた場合の話で、以下を参照して頂ければわかるように、細かく分類すると10種類くらいある。少しの違いしかない変化もあるが、語尾の変化も多様だし、母音が二重母音に変化する場合もあって実に複雑に見える。

▼ドイツ語名詞の複数形
・語尾に「e」が付く場合|机: Tisch(ティッシュ) > Tische(ティッシェ)
・語尾に「n」が付く場合|電灯:Lampe(ランペ) > Lampen(ランペン)
・語尾に「en」が付く場合|行動:Aktion(アクツィオーン) > Aktionen(アクツィオーネン)
・語尾に「er」が付く場合|子供:Kind(キント) > Kinder(キンダー)
・語尾に「e」が付いて名詞中の母音が変音する場合|医者:Arzt(アルツト) > Ärzte(エルツテ)
・語尾に「er」が付いて名詞中の母音が変音する場合|本:Buch(ブーフ) > Bücher(ビューヒャー)
・語尾変化せず、名詞中の母音だけが変音する場合|父:Vater(ファーター) > Väter(フェーター)
・語尾に「s」が付く場合|自動車:Auto(アウト) > Autos(アウトス)
・語尾変化しない場合(単複同形)|部屋:Zimmer(ツィマー) > Zimmer(ツィマー)
・語尾の「ss」に「es」が加わる場合|兵役:Kommiss(コムミス) > Kommisses(コムミセス)
・語尾が「leute」に変わる場合|炭坑労働者:Bergmann(ベルクマン) > Bergleute(ベルクロイテ)

ドイツ語を専門としている人の文法について調べてみると、「-e型」「-er型」「en型」「s型」などと分類されているを見かける。それによると、名詞の複数形は、おおよそ5つくらいに分けられ、上記の変化も基本はそれに基づいているが、その昔に使っていた参考書を見ながらまとめたら、11種類もあることがわかった。もしかしたらどこかに間違いがあるかもしれないが、上記の例は、おそらくほぼすべての複数形の変化について示していると思う。

これを見せられると、ドイツ語は難しいという印象を持たれるのは当然かもしれない。実際、複数形がわからなくなることも頻繁にあったりするのだが、変化の仕方にはある程度の規則があるので、そう困ることもない。むしろ、英語の複数形のつくり方に、もの足りなささえ感じてしまったりする。だからといってドイツ語の方が偉いわけなどないし、ドイツ語の方が古さを残している感じがするのは私だけだろうか。

いつもは気分転換に書いているのだが、今日はこれだけをまとめるだけで疲れてしまった。次回は、ドイツ語の数字について触れてみたいと思う。

加筆訂正:2011年7月6日(水)/7月8日(金)

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