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還流独歩

夏のシャワー 2011.07.21

シャワーといっても、浴室で浴びることではない。ドイツ語では、空から降って来る「にわか雨」や「夕立」のことを「シャワー」というのである。発音的には「シャオアー」と言った方がドイツ語により近くなるだろう。手元にある辞書にも、発音の手引きとして、カタカナでそう書かれている。

夏至から約1か月が過ぎ、夏本番の季節を迎えているというのに、ドイツは気温があまり上がらない日が続いている。しかも朝晩は青空が広がるのに、昼間は灰色の雲で覆われていることが多く、時折、晴れ間が広がるのかと思わせぶりな様子を見せつつも、晴天が一日中続く日が極めて少ない。

今日も昼過ぎに「シャオアー」がやって来た。最初は、ただのにわか雨かと思ったが、次第に雨足が強くなり、土砂降りを通り越して、集中豪雨のような状況になった。天窓や屋根を叩く雨音が一段と激しくなり、雨樋からは雨が勢い良く溢れ出している。天気予報のレーダーを見ると局地的に降っているようだ。

4月はとても気持の良い天気が続いたのに、7月に入ってからは夏からほど遠い日ばかりである。週間予報では、週末の最高気温は16℃くらいで、この先、一週間も清々しい天候に恵まれることはなさそうだ。強烈なシャオアーは20分ほど続いたあと、何ごともなかったかのように急に治まり、太陽がほんの少しだけ顔を出した。

夕方になって青空が徐々に広がると、裏庭から声が聞こえて来た、反対側の集合住宅のテラスで歓談している人たちが見える。斜めから差し込んで来る陽射しが心地良いが、これも一日のうちのほんの僅かな時間である。しばらくすると、また雲が流れて来て、いつもと同じように空は灰色雲に覆われてしまった。

今年は、このまま秋になりそうな気配である。

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