理念 建築 略歴 連絡
文章 視察 還流独歩 大福企画
還流独歩

重量超過で大発汗 その1 2011.07.26

5時前に起床し、荷物をまとめたあと泳ぎに行った。8時過ぎに戻って来て部屋の片付けを最後に終えて、9時過ぎのバスに乗る。夏休みに入ったこともあって、バスはものすごく空いているが、ケルン市内は地下鉄工事や新しい再開発が進んでいるため、運行路が大幅に変更になっており、走っては止ってを繰り返すのが鬱陶しい。中央駅に行くまでに時間がかかるので、今回も時間に余裕を持って出発した。フランクフルトに向かう新幹線は10分ほど遅れたが、問題なく着いた。駅のホームには、大きな荷物を持った人たちが溢れている。

ところで、今回もA380での移動である。前回も書いたかもしれないが、ルフトハンザに乗りたいわけではなく、ドイツ発券の安い航空券を探すと、乗換による空港税の追加がないフランクフルトからの直行便がなんとか手の届く金額で、しかも便利だから使っているだけだ。より安い航空券で残されているのは、ドバイ経由のエミレーツや、ドーハ経由のカタール、あるいはアブ・ダビに立寄るエティハド/ETHIADなど、中東経由の航空会社のようだ。いずれも上級のサービスを提供してくれるようだが、問題は時間がかかることだ。今回も悩んだが、結局、ルフトハンザにしてしまった。

何の問題もなく空港まで来たが、搭乗手続きのときに予想外のことが起こった。ルフトハンザの場合、エコノミーでも預けられる荷物は、23kgが二つまでなのだが、私のは一つで32kgなのに、超過料金が100ユーロ必要になるという。実は嫌な予感はしてはいた。以前、37kgを持って移動したときに、あまりの重さに懲りたので、最近は25kgくらいで納まるようにしているのだが、今回はどうしても持って帰りたい本や資料があったので、無理に詰め込んだのである。持ち上げたときに30kgは超えている気はしたが、搭乗手続きのときに問題になるとは思いもよらなかったのである。まさに不意打ちだ。

納得できない私はしつこく食い下がったが、担当の女性は、6月から規定が変わったのだと言って、説明用の資料を見せて絶対に譲らない。つまり、23kgが二つまで持ち込めても、一つの重さが46kgまでというのは認められないというのだ。理由はわからない。よほど訊いてみようかと思ったが、問題は解決しなさそうなので止めた。結局、双方譲らず、私は4つ開いている別のカウンターの女性にところに移動して打開を図った。そうしたら、3つ隣りの最初の担当女性が、私の前の女性に電話をかけて来て、「彼は5kg超過分の料金を払う必要がある」というようなことを言っているのだ。

失礼な態度に出た私も愚かだったが、実に小賢(こざか)しいことをする。しばらく揉めたあげく、結局、スーツケースから本と資料を取出すことにした。25kgまで減らせば文句はないだろうと思い、重そうなお土産も出した。こういうときに布製の手提袋があると重宝することがよくわかった。幸いにも二つ持っていたので、それに入れた。持ち上げてみると、スーツケースは25kgくらいまで軽くなった気がする。そして列に並び直して、たまたま違う3番目の女性のところに行くと、さっき担当だった2番目の女性が「彼の荷物は重量超過よ」と言うではないか。あたり前の対応なのかもしれないが、正直なところ、この対応にも苛立った。

しかし、二つの手提袋のお陰で、スーツケースの重さを24.5kgに減らすことに成功した私の前にいる3人目の女性は、隣りの同僚から重量の超過に関する規定を聞かされつつ、「そんなこと聞いたことがないないわよ。30kgくらいは問題ないはずよ…」と私の味方となる発言をするのである。2番目に対応した女性も、「3つ隣りの彼女がそう言ってるのよ」と自分の責任を回避するではないか。自分の非を棚に上げておいて甚だ失礼だが、要は最初の女性の対応が問題なのだ。ドイツでありがちなのは、担当者によって言うことがまったく違うことがあるが、まさに今回がそうだ。

結局、追加料金は払わずに済んだ。最初の女性に捨て台詞の一つでも残そうかと思ったが、あまりにも大人げないので、目も合わせず静かに立ち去ることにした。逆効果なことはやめよう。それにしても肩に食い込む荷物が重い。手荷物を8kg増やし、預け荷物を同じ重さだけ軽くしたに過ぎない。実に空しい。そもそも46kgまで持ち込めるのだし、6月から規定が変わったのであれば、「申し訳ないのですが、荷物を28kgくらいまで減らして頂ければ、今回は追加料金は免除しますので、次回からは気をつけて下さい」というのが大人の対応でないだろうか。前屈みになって空港内を歩きながら、そんなことを考えた。

« »