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還流独歩

古本屋巡り 2011.08.30

昼前に神保町にある某企業に伺い、打合せ済ませる。そのあと美味しい昼食をご馳走になってしまった。お腹が満たされたら、天気にも誘われて、久しぶりに古本屋巡りをしたくなった。あえて説明するまでもなく、この界隈は古書を扱う書店がいくつも軒を並べる古本屋街である。学生の頃からしばらくの間、古本屋を熱心に回ることに情熱を傾けていた時期があった。大井町線沿いの自宅から、わざわざ自転車ででかけ、ほぼ一日中、書店を巡っていた頃が懐かしい。

古書店巡りといっても、専門家が扱うような、いわゆる蔵書というものを探すわけではなく、読んだ本の中の参考文献で紹介されているもので、あいにく絶版になってしまっている本を探すのが主な目的だった。エクセルギーの大家である押田勇雄先生が書かれた「太陽エネルギー」や「人間生活とエネルギー」という本なども古本屋で見つけることができた。それはいつも宝探しのような感じだったから、見つけたときの喜びはひとしおだった。

いまにして思えば、当時は本を良く読んでいたと思う。おそらく何かに飢えていたのだろう。少し奇麗なことを書かせてもらえるなら、求めていたのは本の中にある活字や知識ではなく、自分の考え方や方向性、あるいは将来に向かって、どうあるべきかであって、それらを手当り次第に探っていただけのことなのだと思う。いまさらながら、そう感じたりしている。本との出会いは、新たな自分を見つけることだという歯の浮くようなことさえも言えてしまいそうだ。

8月終わりの晴天のもと、そんなことを想い出しながら、2時間近くも書店を巡ってしまった。そのお陰で、また新しい目標に向う気持が沸いて来た気がするのである。

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