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高速バスと建築 その1 2011.08.31

朝10時に東京駅から出る東名高速バスで浜松に向かう。すわ製作所が手がけた物件の見学会に参加するためである。移動には素直に新幹線を利用しようかと思ったが、調べてみると、高速バスの往復割引料金が、新幹線の片道分よりも安いという衝撃的な事実が判明したことから、時間がかかってもバスで移動することに決めた。

浜松駅に着くバスは本数が少ないので、名古屋行きに乗り、「東名浜松北」という停留所を利用することにした。そこから徒歩10分くらいにところにある遠州鉄道の駅から電車に乗れば、終点の新浜松までは10分くらいだろうか。そして浜松駅前から、さらにバスに乗り換えるという行程で、約4時半以上もかかりそうだ。

昨日のうちに、インターネットで予約をしようかと思ったが、入力項目があまりに多すぎるのと、どうやら空席があるようなので止めた。9時半前に東京駅の切符売り場へ行くと、乗車券は問題なく買えた。浜松まで往復で6,500円である。安い。でも高速の停留所で降ろされるし、電車への乗り換えも必要だが、やむを得ないだろう。

二階建ての背の高いバスは定刻に出発した。席は三列なので広い。ただ設備を見ると少し古い車両のようである。今回、高速バスを利用したのは、料金の安さだけではなく、単に普段はあまり使わない交通手段を使ってみたくなったからだ。鉄道を語る深い造詣などないが、遠州鉄道という滅多に乗ることのない電車も体験できる。

二階の席だと首都高速からの眺めがより高い位置からになるので、意外と怖いことがわかった。バスは都内を順調に抜け、足柄サービスエリアで10分の休憩を取る。ここまでで約90分の移動である。近づいている台風の影響だろうか、小雨が降って来た。風も生温く、都内よりも湿度が高く感じられる。

高速バスの停留所は、本線上にあるところと、インターチェンジの料金所の近くにあることがわかった。運転手は静岡インターチェンジで交代した。ここでも10分の時間調整がある。高速を出たり入ったり、休憩したりとじれったいが、こればかりは仕方がない。安価な移動は時間がかかるものなのである。

話は少し戻るが、東京を出発する高速バスは、都内に近い向ヶ丘とか、綾瀬、伊勢原といったバス停で降りることができるようだ。こういった区間は乗車のみしか扱わないと思うのだが、何か規定が変わったのだろうか。高速道路というのは市内から外れたところを走っているので、バス停に近いところに住んでいる人にとっては便利なのだろう。

バスはほとんど遅れることなく浜松北停留所に着いた。降りたのは私一人だった。蒸し暑いし、いかもに台風がもたらしているであろう小雨が降り始めた。あらかじめ地図を頭に入れておいたので、遠州鉄道の「自動車学校前駅」を見つけるのは簡単だった。次の電車まで7分待ちである。切符の自動販売機などない。

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