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管理建築士講習 2011.09.08

今年の11月28日までに受講を済ませることが義務付けられている「管理建築士講習」を、今週の火曜日にようやく受けた。ずっと気にはなっていたのだが、受講申込は、受講予定日の三週間前までに済ませる必要があり、しかも書類審査もあるから、それなりの準備と時間が必要になる。実に面倒だが仕方がない。

受講費用の12,000円を振込み、その払込み受領証を貼り、証明写真を3枚添付し、業務経歴証明書に過去の業務記録を記入し、それを第三者の建築士に証明してもらう必要がある。書類はわずかに2枚だが、こういう作業は意外と時間がかかるものだ。しかも私が受けた機関は、郵送での受付が認められておらず、持参しなければならない。

朝9時半から夕方まで、一日中、法規にかかわる講習を受けるというのは、正直なところかなり憂鬱に感じていたが、実際に受講してみると、普段、見過ごしがちな法規にも触れることができたし、いろいろと考えさせられることも多かったので、お尻が痛くなったことを除けば、非常に良い機会であったように思う。

この「管理建築士講習」の他に、もう一つ「建築士定期講習」もある。いま良い機会となったと書いたが、この理不尽な講習制度については辛辣な批判を浴びせたいくらいの気持がある。ともかく今日は、この管理建築士講習がどのようなものか、一般の人にも知ってもらうべきかと考え、配布された講習概要に記載されている文書を紹介させて頂きたいと思う。

■講習の目的:一部改文
2005年11月、国土交通省が発表した建築物の構造計算書偽装改ざん時間は、国民に大きな不安と損害を与え、社会に大きな混乱をもたらしました。この事件を通して国民の建築士に対する信頼は大きく揺らぎ、その一方で、建築物の安全性をはじめとする品質確保に関わる建築士の職責の重大さが改めて問われる機会ともなりました。

こうした国民から失われた信頼を回復するために、国土交通省は2006年に、建築基準法と建築士法の改正を相次いで行なってきました。その内容としては、建築確認手続きの厳格化などを盛り込んだ改正建築基準法は2007年6月から、建築士の資質・能力向上などを盛り込んだ改正建築士法は2008年11月からそれぞれ施行されました。

そのなかで、改正建築士法では「建築士は、常に品位を保持し、業務にかかわる法令、及び実務に精通して、建築物の質の向上に寄与するように、公正かつ誠実に、その業務を行なわなければならないこと(第二条第二項)」がより厳格に求められることになりました。

こうしたことから、建築士事務所および設計事務所等を監視する管理建築士、及びそこに所属する建築士に対して、国土交通省が認可する登録講習機関において、国土交通省が定める講習家庭を修了することが義務付けられました。これを怠った場合、管理建築士ではその者が管理する建築士事務所は登録が取り消され、建築士事務所に所属する建築士では、懲戒処分の対象になるなどの厳罰規定が盛り込まれました。

本講習では、こうした改正法に基づく管理建築士講習、建築士定期講習を積極的に広めて、何よりも建築士の皆さんの資質の向上と、かつ高い知識・能力を身につけて頂くことを第一の目的にしています。そしてこの取組みが、建築士、および建築従事者に対する国民の信頼を回復させ、建設業の健全な発展に寄与するものと確信します。

■講習の内容
1限目 – 90分:建築士法/その他関係法令に関する科目 建築士/建築士事務所の管理/建築士に関する法令
2限目 – 70分:建築物の品質確保に関する科目 受託業務の管理/企画と設計/建築確認と検査
3限目 – 80分:建築物の品質確保に関する科目 工事と竣工/建築物の維持管理/建物の除去
4限目 – 60分:建築物の品質確保に関する科目 業務に関する紛争/業務に関する苦情/賠償責任
5限目 – 60分:修了考査 全30問筆記試験(正誤択一式)

以上が、講習の概要である。すべて法規的な話だから、聞いているのもなかなか辛いものがある。もしすべての講義が90分だったら、お尻の痛さに加えて、精神的な苦痛の両方を味わったからもしない。聞くところによると、国土交通省が定めた時間通りに行なう必要があるとのことで、時間の短縮もできないという。

最後に修了考査を受けた。落すための試験ではないから、考査という名称なのだろう。どのような問題が出るのかは講義の中で知らされるので、ほぼ全員が合格するようだ。もちろん、結果が出るまでは確実なことは言えないが、おそらく大丈夫だろう。来週は「建築士定期講習」もある。批判の気持は抑えて、新鮮な気持で受講しよう。

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