理念 建築 略歴 連絡
文章 視察 還流独歩 大福企画
還流独歩

危険な街角 その2 2011.09.19

店員は、「そういったときには、すぐにお店に避難し、危険を知らせてくれて構いませんから」と言っていたが、実際には恐怖心の方が勝って、何もできないに違いない。その若者は、どうやら泥酔していたようで、歩道に置いてあった隣りの飲食店の宣伝用の看板も殴り倒したらしい。暴力は許せないし、ましてや力の弱い女性や、ものに当るというのは実に卑怯である。おそらくどこかで誰かに取り押さえられているのではないかと思うが、他に被害を受ける人を防ぐ行動に出れば良かったと、その女性の話を聞きながら気転の利かなさに反省した。

街を歩いていても、どんなことに巻き込まれるかわからない。その女性が大きな怪我をしなかったことを不幸中の幸いと言うのは不謹慎だが、本当に油断の出来ない物騒な世の中である。おそらく、これから外出するたびに、精神的な負担も加わるはずだ。つねに気をつけていたとしても、自分も何かに巻き添えになることもあるだろう。地下鉄の構内でも、最近は暴力を抑止するための掲示をいたるところで見かけるようになったから、そういった事件が確実に増えているに違いない。社会の歪みによって人の心に鬱積したものが他人への攻撃へと変わってしまうのだろうか。

世知辛い世の中になったという使い古されたありきたりの表現はしたくないが、外出するときは、できるだけ周囲に警戒しなければならないとしたら悲しいことである。そして、もしかしたら何かの拍子に突発的な事件に巻き込まれ、自分が加害者になってしまうことも絶対にないとは言い切れない。もちろんそれは避けたいし、また被害者にもならないようにしたいものだ。気をつけていたところで意味などないかもしれないが、物騒な事件も多いから、何かあったときに対する心構えを少しは持っていた方が良いのかもしれないとさえ感じたりしているのである。

« »