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還流独歩

アジアの言語 2011.10.08

ときどき感じることだが、日本語というのは実に多様な言語だと思う。ドイツの友人の話によると、世界中で使われている言語を表記する文字の種類は、大きく分けると15種類ほどしかないらしい。そこで調べてみたら、とある印刷会社のサイトには、その倍の28種類くらいあることがわかった。ただ、細かな分類をまとめて行くと、かなりまとめることができそうなので、友人の言うこともあながち間違いではないと思う。

漢字とひらがな、そしてカタカナを使い分けるのだから、これは本当に驚きだと思うし、ラテン文字やギリシャ文字、あるいはロシア文字を使う人たちからすると、こんなに複雑な言語を操るのは不思議で仕方がないのではないかと思う。世界で使われている文字の地図があったので、それを見てみると、アラビア語圏からアジアにかけて、言語が多様になっていることがわかる。

そのサイトからの引用で恐縮だが、インド・南アジアで使われている言語を挙げると、デーバナーガリー、グルムーキー、グジャラート、オリヤー、ベンガル、タミール、テルグー、カンナダ、マラヤラム、シンハラの10種類あるそうだ。東南アジアでは、ビルマ、クメール、タイ、ラオ(ス)の4種類で、東アジアは、漢字、チベット、モンゴル、朝鮮、日本と5種類となる。

これらの言語のうち、実際に使われているのは、ほんの一部の地域だったり、あるいは研究対象として扱われているのもあるようだが、それを抜きにして考えても、アジアのことばというのは多様であることを物語っている。言語学者ではないから、正確には捉えられていない面もあるかもしれない。でも、なぜアジアには言語がたくさんあるのだろうか。いや逆に、欧州列国の侵略の歴史と関係があるのかもしれない。

南北アメリカやアフリカが、ラテン文字を中心とした言語なのは、中世時代の植民地政策が原因だと思われる。その当時の原住民が文字を持っていたかどうかは分からないが、それらは淘汰され、例えば南米はスペイン語とポルトガル語と、一部にフランス語だけが残った。アメリカは英語だし、カナダは英語とフランス語だ。それに対して、アジア諸国の言語の多様性には目を見張るものがある。

その中でも、やはり群を抜いて特徴があるのは、まぎれもなく日本語に間違いないだろう。自分で使っていて思うのだが、これほどまでに面白い言語は他にはないのではないかとさえ思えて来る。外来語を都合良く変化させたり、ことばを適度なところで省略してしまうことなど、言語的な芸術ではないだろうか。その事例については、また別の機会に触れたいと思うが、日本語は世界に誇れるものの一つだとつくづく思うのである。

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