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エネクスレイン誕生 その1 2011.10.20

この話をすると決まって笑われるのだが、enexrain/エネクスレインという名前に行き着くまでに、3年近い月日を要した。これは紛れもない事実だが、別に自慢することでは決してない。名前を考える本気度が足りなかっただけの話である。ただ、自分の中で納得する結論を得るには、それくらいの時間が必要だったのだ。

誕生などと大袈裟な表題にしてしまったが、自ら生み出した名前だからこそ、それに対する思い入れは極めて強い。そんなことをわざわざ言う必要ないかもしれないが、なぜか今日は強調してみたりする。そしてその意味については、このサイトでもくどいくらいに紹介しているが、この部分もいずれ簡潔にまとめたいと思っている。

最初は日本語を考えていた。住環境建築とか、時空間とか、何だかそんな名称を適当に書き出していたのを覚えている。それがいつの間にか、日本語へのこだわりがなくなった。それよりも、理念のようなものを名前に掲げたくなった。自分が目指している方向を、大きな視点を含めた名前にできないか悩んだ。

ある日、エントロピーとエクセルギーについて思いを巡らせつつ、紙に何度も書き出していたときに、それぞれの頭文字を合わせた「enex」が閃いた。そんな単語くらい誰でも気がつきそうな名前なのだが、なぜいままで生み出せなかったのか信じられないくらいだった。しかし「enex/エネクス」という名称は、すでに使われていた。

もっとも、「enex」だけでは短過ぎる嫌いがあったので、それを語幹にして、前後に相応しいことばを入れようと思って、また考えた。ドイツ人の友人は「enex-studio」、あるいは「studio-enex」はどうだと薦めて来た。ただ、日本語だと「スタジオ」だし、きちんと発音するとなると「ステューディオ」になってしまうのが気になった。

私も「enexplan/エネクスプラン」とか、逆の「planex/プラネックス」、「enex-design/エネクスデザイン」、「designex/デザイネックス」など、他にも数限りなく考えた。でも、どれもしっくりこない。そんなある日、「enexphase/エネクスファーゼ」というのを思いついた。いままでの中で響きが一番良いと素直に思った。

生物が「変態」することをドイツ語で「Metamorphase/メタモルファーゼ」というように、つねに進化をしている意味を込めて、英語の読みの「フェイズ」を入れてはどうかと考えた。それをドイツ人の友人に聞いてもらったところ、「phase」というのは、ある限られた期間を示しているのであって、発展を意味するのとは違うとはっきり言われた。

頭に「enex」が付いているから、つねに新しい曲面に展開するような意味を持たせられるのではないかと食い下がったが、事務所の名前として良くないと切り捨てられた。何かの工程を示すのに「フェイズ」は良く使われるので、何となく身近に感じていたのだが、一つのフェイズは完了することが目的だとまで言われたので諦めた。頭を入れ替えよう。

加筆訂正:2011年12月1日(木)

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