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還流独歩

ドイツの紅葉 2011.10.31

昨日の話の続きというわけではないが、ときどき、「ドイツの紅葉は奇麗ですか」と訊かれることがある。その答えは、まあ確かに美しいと感じることはあるけれども、その素晴らしさで言えば、日本の紅葉の方が遥かに勝っていると思う。簡単に言えば、ドイツには紅葉といえるだけの「真っ赤な紅色」に変わる樹々が、日本と比べると圧倒的に少ない。そのほとんどが、黄色に色づくだけなので、紅葉といっても、黄色を中心とした濃淡だけである。

ドイツに、紅葉の名所というものがあるのかどうかさえわからないが、大きな街でも郊外に出ると緑が多いから、黄色だけとはいえ、紅葉はそこでも十分に楽しむことができるし、落葉に埋め尽くされた散策道を歩けば、樹々の合間から降り注ぐ陽射しで森は金色に輝き、足裏には葉っぱの軟らかさが感じられる。小さな芽が吹き始めて、新緑ヘと変わって行く春から、青々とした夏を過ぎ、そして落葉を迎える秋も素敵な季節だと思う。

黄色に輝く森を見ながら、自然というのは良くできているものだと改めて思うのである。

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