モーゼル その1 2011.11.02
昨日は、坂の街「Marburg/マールブルク」を少しだけ訪れた。今日は久しぶりにモーゼル川へ行く。ライン川の支流の一つであるモーゼル川は、ケルンから車で2時間くらいで行ける距離にあり、幾重にも蛇行する川の両岸に広がる葡萄畑が実に美しいところである。この景色に魅せられている私は、もし生まれ変わったら、葡萄の研究で博士号を取得し、葡萄の栽培とワイン造りでもしてみたいと実は密かに思っていたりする。
最初に「Piesport/ピースポート」という小さな街へ向かう。この街はモーゼル川の南側にあるのだが、川を挟んだ北側に急斜面の葡萄畑が広がっており、そこを上から一望することのできる高台がある。ここは観光案内書には絶対に出ていない秘密の場所なのだ。もちろん、車でなければ、なかなか来れない場所でもある。前回来たときには、霧で何も見えなかった記憶があるが、今日は目の前に素晴らしい風景が広がっている。何という豊かな景色だろうか。
そこから今度は逆に、南斜面から北側に広がる葡萄畑を見渡せる「Trittenheim/トリッテンハイム」へ行く。高台にホテルがあり、そこで一休みをしようかと思ったが、人の気配がない。入口の貼り紙には「11月と12月の水曜と木曜はお休みします」と書かれている。残念だが仕方がない。ここから丘の上を走って、「Bernkastel-Kues/ベルンカステル・クース」という街へ向かう。モーゼル川の両岸の景色は、写真を見ているかのように本当に奇麗だ。
「ベルンカステル・クース」は、モーゼル川沿いにあるいくつもの街の中でも、「Cochem/コッヘム」と並ぶ観光地である。今日は平日だから、車を停めるところにも困らないだろうと思っていたが、秋休み期間ということもあってか、かなり混んでいて、川沿いの駐車場は、ほぼ満車の状態だった。季節の良い時期や、収穫祭、あるいは降誕祭前は、駐車場から溢れた車が川沿いの道路に路肩駐車するのだが、その長さが1km以上も続くほど観光客が来る街である。
川沿いの道路から山側に一歩入ると、木組みの建物が肩を寄せ合うように建つ小さなマルクト広場が現れる。その合間に路地があり、そこを思い思いに歩くのが楽しい。また山側へと延びる一本道を歩いて、少し奥まで行ったとしても、わずか10分もかからない小さな街だ。ここから先は、観光客が減ってしまうという一番最後にカフェが数軒ある。そのうちの一軒が空いていたので、そこで一休みする。周りからは、フランス語とオランダ語が聞こえて来る。