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還流独歩

モーゼル その3 2011.11.04

11月だから、もうお店は閉めてしまっているのかと思ったが、まだ営業をしているのが嬉しかった。ここはワインを楽しみながら、軽食が食べられるので、日本から知り合いが来るたびに来ていたのだが、ここ数年は来る機会が減っていた。出迎えてくれたお母さんが「久しぶりね。元気にしているの?」と握手を求めて来たので、何だか気分が良くなって、白ワインを3本買ってしまった。13.5ユーロだから、3本で1500円にも満たない。

今日は時間がないので、ゆっくりはできないのが残念だが、手提げができるいつもの箱に詰めてもらい、お店を後にする。こんなときに感じることは、ワインの値段でもなく、その美味しさでもなく、以前と同じように営業を続けているお店に入り、そしてまた出会えたことに対する喜びと感謝の気持ちを込めながら飲むのが最高に楽しいということだ。あの丘で摘まれた葡萄に想いを巡らせながらワインを飲めることは大いなる豊かさであろう。

ここからケルンまでは、アウトバーンを飛ばして、約2時間の距離である。今日はレンタカーも返さないといけないので、17時過ぎにコッヘムをあとにする。途中から車の量は増えたけれど、 渋滞もなく、流れは順調だ。少し大袈裟に聞こえるかもしれないが、周りの車の平均時速が150kmを超える中を走ると、アウトバーンというのは、まさにドイツを象徴するようなものの一つではないかという感じさえしてしまう。

ボンとケルンを結ぶアウトバーン555号線の起点にある給油所で、二回目の給油を済ませ、レンタカーを返しに行く。二日間で840kmを走ったが、軽油の消費量は52ℓ弱であった。燃費は1ℓあたり16kmである。アウトバーンも、かなりの速度で走ったし、3速や4速の伸びがあまりにもないので、エンジンの回転数も4000以上まで上げて、加速することが多かったが、それでもこの燃費なら上出来だろう。ともかく今回も無事、移動を終えて安堵である。

最後に付け加えさせてもらうと、モーゼル川は、川下りで有名なライン川ほど知られてはいない。もちろん、ドイツのワインに詳しい人なら別だが、一般的な日本の人にとっての知名度は決して高くはない。しかし川幅のある男っぽいライン川に比べたら、遥かに優しい流れをしているし、何度も書いたように、葡萄畑が一面に広がる素晴らしい景色が続くから、時間に余裕のあるドイツ旅行を楽しむなら、一度、足を運ぶ価値が十分にあると思うのである。

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