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還流独歩

機内貧血注意報 その1 2011.11.22

3時起床。夕べのうちに荷物の整理と掃除を済ませてしまうという、ほぼ初めてに近い状況の中、気分も軽く、ゆったりと出発の準備をする。それでも、6時前の地下鉄に乗るまでには2時間半しかない。また少し片付けて、メールの返信を済ませてから、いつのものように成田空港へ向かった。

ルフトハンザのフランクフルト行きは、夏時間のときは朝9時半出発だから、それに合わせて成田空港に着くように行動するのが実に辛いが、冬時間になり時差が1時間増えたら、10時半出発なので、多少なりとも気分的に楽である。搭乗手続きの窓口に行くと私しかいなかった。

最近は円高というかユーロ安のためか、欧州便は非常に混んでいる。エコノミークラスは、今日も、ほぼ満席の乗客を乗せて、飛行機は定刻通りに出発した。そして一回目の食事が終わった後だったと思う。少し身体を動かしたくなったので、席を立ち、お手洗いの近くに行ったときに、その事件は起きた。

最初は気がつかなかったのだが、少し離れたところに立っていた日本人と思われる若い女性が、すぐ近くにいた客室乗務員に後ろから両脇を抱きかかえられるように寄りかかり、二人とも崩れ落ちそうになっているのが見えた。倒れかけている女性は首をうなだれているから、意識を失っているのがすぐわかったのだが、瞬時のことで何もできない。

その女性を懸命に受け止めていた客室乗務員がドイツ人女性だったので、私はとっさにドイツ語で「大丈夫ですか!」と詰め寄った。彼女は「他の乗務員を呼んで下さい!」と言うので、閉められたカーテンを少し開けて、機内販売を始めていた他の客室乗務員に遠くから少し大きな声をかけた。

目と目が合ったので、手ですぐに来てくれるよう合図をしたが、最初はどうもすぐには伝わらなかったようだ。いまにして思えば、近くまで行って状況を話せば良かったのだが、倒れかけている二人の女性のことが気になったこともあって、そこまで気が回らなかった。そのあとすぐに、女性と男性の乗務員が来てくれた。

床に倒れ込んだ女性は乗務員に抱きかかえれるように静かに眠っているように見える。ワンピースのような服を着ているのだが、丈が短いのか下着が見えかけているので、開きかけているカーテンを閉め、そして毛布のようなものをかけた方が良いのではないかと思っているうちに、いつの間にか彼女の意識は回復し、何ごともなかったかのように立ち上がったのだ。私はまた驚いた。

加筆訂正:2011年11月29日(火)/12月2日(金)

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