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還流独歩

12月の長い夜 その2 2011.12.04

さらに調子に乗ってしまった私は、一日中、太陽が昇らない極夜の場所を探し始めた。ストックホルムを事例として選んだので、同じスウェーデンで調べてみることにした。そしていくつかの街を探しているうちに、「Enontekiö/エノンテキエ」という北緯68°22’の街が見つかった。ただ、地図をよく見たらフィンランドの北のはずれだった。

面白いことにこの街では、12月5日(月)の日の出が11:52で、日の入は12:41なのだが、わずか一日ずれた翌12月6日(火)は太陽が出ない極夜になってしまうのである。つまり、一日で日照時間が50分以上も短縮されるのだ。夏には白夜になり、冬には極夜になるわけだから、それくらいの差があってもおかしくはないのだろう。

太陽が出ている時間が、夏と冬で24時間の違いがあるのだから、単純に24時間を半年の180日で割ると、1日8分の差となる。つまり日の出と日の入の時間が、わずか1週間で1時間近くも違って来る計算になる。ただし、実際の日照時間の増減は、比例直線ではなく正弦曲線のように変化するはずだから、春分や秋分の時期は毎日の差が大きくなる。

と、ここまで書いておきながら、ある疑問が生じた。日照時間が正弦曲線のように変化するのは、実は北緯45度前後の辺りだけであって、緯度が高くなると、春分や秋分の頃の変化は少なく、いまのような冬至や夏至の時期に大きく変化するのかもしれない。何か数式があれば簡単に求められるのだが、そこまで頭が回らない。

そこで今度は、「Enontekiö/エノンテキエ」の極夜が終わる時期を調べてみたら、また面白いことがわかった。極夜の最後は、いまから約一か月後の2012年1月6日(金)で、翌日の1月7日(土)には太陽が顔を出す。そのときの日の出は12;17、日の入は12:49だ。1月8日(日)は、それぞれ12:02と13:04で、その翌日の1月9日(月)は、11:53と13:15となる。

さらにもう一日経った1月10日(火)は11:45と13:24で、その翌日の1月11日(水)は11:38と13:32となる。つまり太陽の出ない極夜が終わった後は、日照時間が、32分、1時間2分、1時間22分、1時間39分と急速に増えては行くものの、増加する時間を、その前日と比較すると、30分、20分、17分、15分と短くなって行く。そして春分の日の前後の日照時間の増加は約9分となることがわかった。

そして今度は2012年5月25日(金)から白夜が始まる。その数日前の日の出と日の入の時刻は、それぞれ次のようになる。02:27/00:17、02:18/00:26、02:08/00:37、01:55/00:50、01:29/01:17。その差は、18分、26分、47分と、白夜に向かって急速に増える。つまりこれは「正弦」曲線ではなく、「正接」曲線となって発散している状態だ。

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