風邪気味デンハーグ その1 2011.12.11
今日の標題は、「風邪気味デンハーグ」であって「風邪気味ハンバーグ」ではない。しかも本題はかなり後半から始まる。そして読むのも疲れる長文である。どうかお許し頂きたい。
先週の木曜の午前に、寒い思いをして写真を撮りに行ったら、午後になって身体の調子が悪くなった。体温がなかなか上がらないのが自分でも良くわかる。そして夜になったら寒気もして来た。日付が変わる前に寝たのだが、咳が出始めて、夜中に何度も目が覚めてしまった。しかも首筋や脇がやけに熱く感じられる。これは完全に風邪の症状である。
金曜の朝、起きると身体がだるくて関節も痛い。微熱もありそうだ。そんな体調の中、オランダのデンハーグへ向かう。デルフト工大の建築学科で5年近く教鞭を取っていた友人が、仕事を辞めてハンブルクへ戻るという。一度、遊びに来るようにと何度も誘われていたのだが、なぜか気持が動かなかった。でも、今回が本当に最後の機会だから、一泊で出かけることにした。
準備をしながらラジオを聞いていると、電車が遅れているらしきことを言う。インターネットで運行状況を調べてみたら、アムステルダム行きのICE/インターシティエクスプレスは70分の遅れだった。「またか…」というのが正直な気持ちである。もう何年も前、アムステルダムへ行くときは2時間近く遅れたときがあった。
それでも、定刻の出発時刻に合わせて中央駅に向かう。途中で具合が悪くなったら困るので、真冬並の寒さ対策をして、珍しく風邪薬も持って出かけた。駅に着いて確認すると、さらに10分遅れていて、遅延80分と表示されている。仕方ないので、暖かい駅の切符売り場の席に座り、電車が来るのをひたすら待つことにする。10:46発が12時くらいになりそうだ。あと一時間半もある。
待っている間、向かいに座っていた子供連れの女性が、私の右隣りの女性に英語で話しかけて来た。最初は気に留めなかったのだが、急に私の方に振られてしまった。「あなた、英語できるかしら?」。「ええ、まあ少しなら…」。向かいの女性の質問は、「ボンは奇麗な街ですか? 大人二枚の切符を買いたいのですが」。「ええ、街は小さいけれど、半日くらいの観光にはちょうど良いですよ」と答えた。彼女の話は続いた。
「でも、順番待ちが多過ぎて、どうしようか迷っているんです」。ケルン中央駅の切符売り場は、何年か前に番号札を受取る方式に変わったのだ。彼女の数字を見ると、40人待ちくらいだった。ケルンの切符売り場はいつもこうなのだ。その気ち、良くわかる。今度は私の左側に座っている女性も巻き込んで、4人での協議が始まった。しかし残念ながら、結論は出なかった。
その理由はいくつかある。ボンまでは、ドイツ鉄道ではなくVRSという別枠の料金が適応されるので、ドイツ鉄道のウェブを見ても料金が表示されないのである。ただし、ICとICEの料金はわかる。それぞれ9ユーロと、12.5ユーロだった。ただ、ボンまでは普通の快速電車で20分だから、特急に乗る必要はない。しかも地上を走る地下鉄でも行ける。
単純に、大人二枚の往復切符を買っても良い。多分、32ユーロくらいだろう。しかし「NRW/ノルトライン・ヴェストファーレン州切符」という大人5人まで使える一日割引切符のようなものがあるので、それを買えば、多少は安くなる可能性もある。切符の自動販売機でも買えるはずだが、その女性が手にしているのは50ユーロ札だ。確か使えるのは20ユーロまでだったと思う。
そんなことを説明しているうちに、彼女は諦めて待つことにするという。私の両脇の女性も自分の番が来たら、簡単な挨拶をして、あっさりいなくなってしまった。まあ、あたり前だろう。私もPCに向かって少し集中して作業をしていたら、質問をして来たその女性も、いつの間にかいなくなっていた。だから、最後はどうなったかもわからないままになってしまったのだ。
11時半を過ぎたので、念のため時刻表示板を見に行った。そこで私は固まってしまった。80分遅れが45分に短縮されているのだ。これは最悪だ。乗り過ごしたな…と諦め気分でホームへの階段を駆け足で一気に上がると、アムステルダム行きのICEまだ止っている。ホームの中程には、出発の合図をする車掌が立って乗り込もうとしている。間に合った。新幹線は1分後に発車した。
前置きが長くなったが、デンハーグへの旅はようやく始まった。固定されたテーブル席が空いていたので、向かいに座っている年配の女性に確認して座った。ケルンから2時間ほど走って、Utrecht/ウトレヒトまで行き、そこでデンハーグ行きに乗り変える。接続の特急には間に合うはずもない。ウトレヒトに着いたら考えよう。1時間に2本くらいあるはずだ。
加筆訂正:2011年12月13日(火)