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降誕祭状2011 その2 2011.12.21

これで次の作業に取りかかれると思った次の日、一瞬、我が目を疑うような驚愕する場面に出くわした。所用で出かけようと階段を下りて、一階の共用玄関に目を向けたときだった。昨日、日本へ送ったばかりの降誕祭状が、扉についている郵便受けから、何通も放り込まれているのである。全部で15通近い。日本に宛てたのに、どうして戻って来るのだろうか。郵便配達の人も、おかしいと気がつかないのだろうか。何通かに靴跡がついているのも許せない。

昨日、感じた達成感は、そこで脆くも崩れ去った。仕方ないので、15通近い降誕祭状を持ったまま、一旦、外出した。それにしてもひどい仕打ちである。そう思いながら、過去にも自分宛に戻って来たことがあったのを想い出した。今回、ケルンの住所を印刷した位置を左下にしたのが災いしたようだ。日本宛の住所は、いつものようにすべて漢字で書いたのだが、住所の自動読み取り機が、おそらくケルンの住所の方を感知してしまったに違いない。

またやってしまった。以前は、返送を避けるために、ケルンの住所を上の方に書いていた。絵はがきを日本に送るときにも宛先を漢字で書き、念のためにケルンの住所を書き添えると、そちらの方を読み取って戻って来てしまうことが何度もあった。だから最近はケルンの住所を読み取れないような位置に縦書きにするようにしている。戻って来た降誕祭状を見ると、宛名の下部に橙色のバーコードのようなものが印字されている。そこは書いてはいけない部分なのだ。

住所の長さなどによって、「JAPAN」と書く位置は変えていたのだが、どうやら一番下に書いたものだけが返送されて来たようだ。たまたま色鉛筆で書いてあったので、外出を終えてから、それを消しゴムで消して、新たに別の位置に「JAPAN」と書き直した。そしてケルンの住所をボールペンで上から消した。宛名が汚くなったが、すでに切手は貼ってあるから、比較的奇麗な状態のものは、このままもう一度投函してみよう。

さらに次の日、玄関を見に行くと、4通が返って来た。昨日、返送されなかった残りらしい。そのうちの3通は、濡れた玄関扉の下から強引に押し込まれたもので、半分は雨に打たれ、半分は濡れた床でひどく汚れていた。昨日は扉の郵便受けから放り込んでおいて、雨の日の今日は、扉の下から押し込むというのも理解できない。損傷が激しいものは、もはや出し直すしかない。自分の落ち度なのだとは思うが、行き場のない怒りを沈めながら、3通ほど書き直した。

結局、日本に送ったのも、ドイツ国内に発送したのも、すべてケルンの住所は上書きして消した。最初の発送から3日目には、1通も戻って来なかった。これで安心だが、予定よりも二日遅れの降誕祭状が、日本の三連休の前に届くか気にはなった。でも、これはやむを得ないだろう。それにしても人騒がせなドイツ郵便である。これからは、ケルンの住所は機械では読み取れないと思われる位置に書くしかないだろう。あとは「JAPAN」と書く位置にも要注意である。

ともかく、今年の降誕祭状が、あまり奇麗ではない状態で届いた皆さん、どうかお許し下さい。そして、この環流独歩を読んで頂いている全員の方には届けることは無理なので、ここに今年の降誕祭状を掲載し、年末のご挨拶に代えさせて頂きたいと思います。少し早いですが、今年もおつきあい頂き有難うございました。また、残り少なくなった激動の2011年が、充実した日々となりますように。そして、どうぞ良い年をお迎え下さい。
 
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