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還流独歩

春の闘いとタクシー予約 2012.03.05

友人と旅行会社の方から、ほぼ同時に連絡が来た。明後日の水曜に、ケルン市内で大規模なストライキがあり、電車やバスは、すべて運休するらしい。調べてみると、幼稚園や病院、公的機関などが完全に業務放棄になるようだ。いつも行くプールも休みだというので、朝泳ぎに行ったときに確認すると、「水曜は閉館よ」という返事があっさり返って来た。いつも出発前に泳ぎに行くのだが、今回は無理だと言うことがわかった。

ケルン中央駅まで、普通に歩くと30分で着くが、大きな荷物を転がしながら、その距離を足で移動するのは極めて辛い。バスも電車も動かないとなると、水曜日はタクシー乗り場に行っても、一台も停まっていない可能性はかなり高いだろう。夕方、買物に出たついでに、タクシーの予約をすることにした。以前、住んでいた家の近くに、個人タクシーの受付窓口がある。電話でも予約できるが、歩いて10分ほどのところだから、直接予約することにした。

ここには、薄い橙色に染めた髪の毛がいつも少し爆発している年配の女性がいる。定位置に座っているのが、通りに面したガラス越しに見えるのだ。以前は、この前をいつも通っていたのだが、引越してからはほとんど来なくなった。久しぶりに行ってみると、その女性は今日も正しく以前と同じ場所に鎮座していた。扉を開けて「明後日の9時にタクシーをお願いしたいのですが、まだ大丈夫でしょうか」と尋ねると、眼鏡をかけている視線を少し上目づかいにして答えた。「良くないわね…」。

もう、予約で一杯なのかと諦めかけたら、予定がびっしりと書き込まれた大きな手帳を見て、「9時でしたっけ? 大丈夫よ」との返事をもらえた。住所と名前を告げると、「わかったわ。じゃ」。ここはいつも簡単である。以前にも電話したことがあるが、あまりに素っ気ないので、本当に大丈夫なのかどうか不安になるのだが、タクシーは間違いなく来てくれた。今回もおそらく問題ないのだろう。これで出発前の懸案事項が一つ減った。

話は戻って、3月は春闘の季節でもある。ドイツの組合については詳しくはないけれど、当日は大規模なデモも予定されているようだ。無事に駅まで辿り着けるか心配だが、タクシーが来なかったら、走っている車を止めよう。念のため、A4版の裏紙に、「HBF./中央駅」と書いた紙を用意した。これで何とかなるだろう。明日は帰国前の準備である。

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