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還流独歩

木造に移行するドイツの住宅 2012.04.24

日曜のことになるが、アイフェル地方の修道院と友人の個展を見たあと、昨年9月にケルン郊外にできた新しい住宅展示場へ行く。友人は気を利かして、わざわざ遠回りしてまで送り届けてくれた。市電の最寄駅から歩こうと思っていたが、30分以上もかかりそうな感じで、駐車場は満車に近い状態であった。そこで1時間半ほど、ドイツの最新の住宅に触れる機会を得た。

ドイツの住宅展示場の面白いところは、入場料が必要だということである。ただし、大人一人が3ユーロだから、いまの為替相場で換算すれば、わずか330円であろうか。しかも家族割引があり、大人が2人いれば5ユーロで、18歳以下の子供は無料だという。娯楽のないドイツだからこその金額かもしれないが、無料とまでは行かないにしても、極めて良心的な額だと思う。

入口に近い住宅に入ると、担当者らしき人に「何か質問などありますか?」とドイツ語で話しかけられた。なぜに英語ではないのかはわからないが、こういったところに、英語圏の人が来るとも思えないから、あたり前のことかもしれない。そこでわかったことは、この展示場にある25棟近い住宅のすべてが木造だというのである。ドイツはこれまで組積造が8割り近くを占めていたから、これはあまりにも予想外のことであった。

ドイツの何部に位置するフライブルグ地方には、日本語で黒い森と呼ばれるシュヴァルツヴァルトがある。それがあまりにも有名になってしまった感があるが、ドイツはどこへ行っても森の国だといっても差し支えないかもしれない。それはまた日本国土の7割が森林であることに通じる部分が大いにある。木材という天然資源に関して、ドイツの人の関心が高まっている証拠だろうし、もしかしたら、ドイツの住宅事情は、大きな転換期を迎えようとしているのかもしれない。

ドイツの住宅事情については、また改めて触れたいと思っている。

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