理念 建築 略歴 連絡
文章 視察 還流独歩 大福企画
還流独歩

物乞い その1 2012.06.08

「物乞い」などと書くと、日本語の表現としては、あまり好ましくはないのかもしれないが、食料品店の脇にしゃがみ込みんで、目の前を行き交う通行人に小銭が欲しいと嘆願する姿は、ドイツの大都市なら普通に見られる光景ではないだろうか。特にお店が連なる商店街などには、必ずと言ってよいほど、そういった人たちが確実に存在する。

欧州の経済を牽引するドイツは、ユーロ危機と叫ばれながらも、どこにそんな底力からがあるのかと思えるほど、経済的にも堅調のようだ。無論、政治的にも大きな問題を抱えているし、いつどこで国家的な危機が訪れるかもわからないが、好景気とはいえないものの、一時期の不景気は脱した感がある。

その一方で、1ユーロジョブと言われるような、時給が100円程度の仕事があることが、何年も前に取り沙汰されたことがあった。日本と同じように、最低賃金が決められているドイツでは、あり得ないことなのだが、どんなことにも例外はつきもののようで、非合法的な雇用体系がまかり通っていたりもするようである。

« »