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宿谷先生をお祝いする会 その2 2012.07.02

宿谷先生は、まさに研究者らしく、今回のお祝いの会での講義でも新たな知見を次々に知らせてくれた。目の前に映し出される研究とは、これまでのように縦軸と横軸のあるグラフではなく、誰しもが興味を抱く挿入絵のようなものが多い。例えば、鶏の親子の絵が出て来る。この研究は、ある学者が80年前に調べたことではあるが、とても興味深い考察の一つだ。

鶏の親は、ヒヨコが鳴く声を聞くことで、その存在を知るが、ヒヨコをガラスの容器で塞ぎ、鳴き声が外に漏れないようにしてしまうと、親鶏は目の前にいるヒヨコがいても、それに気がつかないのだという。人間にとっては信じられないかもしれないが、脳が小さい鶏は、知覚と聴覚が連動しないらしい。

一方、人間の脳というのは、視角と聴覚を連動させることができだけでなく、それらを統合させたり判断した結果を、手や足から出力できる能力を持っている。ごくあたり前のことかもしれないけれど、それが人間を高度に進化させてきたのである。見て、聞いて、考えて、手を動かすことができる生物が「ヒト」なのだ。

次に違う話題だが、緑のカーテンを実践した人たちから体験談を聞き取り調査した結果が興味深い。緑のカーテンについて、いまさら説明する必要もないと思うが、いまから10年くらい前に、公立の小中学校で行なわれ始めた壁面緑化の一環である。いまは教育の分野だけでなく、さまざまな施設や企業で実践されている。

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