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それから宿谷先生は、「真」「善」「美」についても語ってくれた。スクリーンには、その三つが数学の集合のように示されている。しかし、その互いに重なっている部分には何も示されていない。「真」と「善」の間にあるものは何だろう。「善」と「美」、あるいは「真」と「美」、そして、その三つに共通するものは、はたしてあるのだろうか。

映し出された課題は、私にとって新しくて大きな視点だった。そして話は続いた。「真」と「善」と「美」は、それぞれ、「科学」「技術」「芸術」の分野に、次のように当てはまるのではないかというのである。あいにく、詳しいことは思い出せないのだが、確か、そんな話だったと思う。

・科学とは　真か、偽か
・技術とは　善か、悪か
・芸術とは　美か、醜か

「科学は真で、技術は善で、芸術は美」なのだろうか。そして、そうあるべきなのか。あるいは逆に、「科学は偽りで、技術は悪で、芸術は醜い」といえるのだろうか。それとも、6通りの組合わせがあって然るべきだろうか。普段、ほとんど考えることのない命題を宿谷先生に出して頂き、私は「自分の頭で考えること」の大切さを改めて知ったように思う。