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還流独歩

米と麦と食べること その1 2012.07.08

話は昨日の流れで続いている。そして、書き始めたら、また長くなり過ぎた。

米も麦も穀物の一つである。でも、その食べ方は大きく違う。稲作が中心のアジアは、米をそのまま水で焚いて食べるのに対して、麦は、その実を砕いて、練って焼くのが基本である。もちろん、麦飯というのもあるが、食べ方としては例外だろう。この違いは一体、どこからやって来るのだろうか。

あたり前のことだけれども、米というのは水の文化に他ならない。では、麦はどうなのだろう。水に対して、どんな表現を使えば良いのだろうか。丘の文化なのか、陸の文化なのか。あるいは、水ということばに反意語はあるのだろうか。何だかそんなことを考えてしまう。

日本とドイツを行き来きするたびに感じることは、月並みではあるが、食べているものの違いである。何度も書いてきたけれど、水で焚いたご飯と、粉にして練って焼いたパンでは、同じ穀物でありながら、食べ方がまったく違う。最近では、ご飯がパンになるというのもあるようだが、ごはんを焚くのと、パンを焼くのでは、調理方法にあまりにも大きな隔たりがある。

炊きたてのご飯を茶碗によそい、味噌汁と一緒に、数品のおかずを戴く。焼いたパンの塊を切って、バターを塗り、そこにチーズやハムなどを乗せて食べる。そして、どちらが手間がかかるかというと、明らかに、ご飯の方だろう。パン食には失礼だが、パンを切ったら、あとは冷蔵庫から出した食材を乗せるだけで済んでしまうのである。

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