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還流独歩

太陽の力 2012.12.12

師走も半ばに近づき、朝晩は冷え込む日が多くなって来た。もう12月なのだから、あたり前である。この時期になるといつも思うのだが、暑かった夏はいつの間にか過ぎ去り、暖房が必要な季節になった。そして、これから寒い日が続いて行く。直接的でも間接的でも、化石燃料を使う暖房が、ますます求められる。

その一方で、今日は朝から目映(まばゆ)いばかりの陽射しが降り注いでいる。手をかざすと温かい。空気のない宇宙空間を移動して来る日射というのは、空気があってもなくても、その空間を移動できるのだから素晴らしいと思う。しかも地球そのものを温めてしまうのだから、太陽は偉大だ。

宇宙を通って来た日射をできるだけ建物に導き入れて、暖房の代わりにしようというのが、自然暖房という考え方である。その太陽熱は、使っても使わなくても、誰も文句は言わない。誰もがただで手に入るからであり、満遍なく「遍在」しているからでもある。だからこそ、できるだけ簡易な設備を使って利用すべきではないかと思う。

今日のように降り注ぐ太陽の熱だけを使って、暖房や給湯をすべてまかなえるとしたらどんなにか素晴らしいだろう。もちろん、そういった取り組みは、これまで数多く行なわれて来たし、たくさんの人が試行錯誤を繰り返して来た。日射を室内に導き入れて暖房をすること。単純にして、実に素敵な手法だと思う。

陽のあたるホームに立ち、目を閉じると太陽の温かさが身体全体を包み込む。まさに太陽との交感である。師走の慌ただしい時期だからこそ、こういった自然の働きかけに、少しでも気持を傾けたいと思う。

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