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還流独歩

夕張と石炭 その2 2012.12.24

周知のごとく、夕張市は財政破綻した自治体の一つである。再建に向けて、いろいろな試みが行なわれているのだろうけれど、かつて炭坑景気で沸いた活気は、もはやどこにも見当たらない。人口は約1万人。もはや「市」としての人口を保ってはいない。同じ空知支庁にある歌志内(うたしない)市は人口が5000人を切っているし、三笠(みかさ)市も1万人を割り込んだ。その一方で、札幌は190万都市となり、日本で4番目に大きい都市ヘと成長した。

日本全国の地方都市の過疎化が取り沙汰されるようになって、もう何年くらいになるだろうか。そういった研究をしてるわけではないから詳しいことはわからないが、1970年代か80年代くらいからかもしれない。その流れは止らず、人口の流出がいまも続いている都市は、全国で相当数に上るはずだ。特に数多くの炭坑があった空知支庁は、閉山とともに、過疎化が顕著になったところが多い。悲しいことに、疲弊している街ばかりのように見える。

資源の変遷を振り返るまでもなく、個体の石炭から、液体の石油への流れは、誰にも止めることができなったのも仕方がない。例えば、石炭で車を走らせることは不可能ではないけれど、一台の車に蒸気機関を搭載することは、到底、現実的ではないし、普及することもあり得ないだろう。飛行機も、石炭を使って飛ばすことは、まず考えられない。何らかの方法で、石炭を液化することができれば、飛行機を空中に持ち上げるだけの推進力が得られるかもしれないが、そんなことも考え難いと思う。

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