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還流独歩

2階は1階 その1 2013.03.14

日本では、地面と同じ位置にある階を1階と呼ぶ。その上は当然2階で、その下の階は地下1階である。一方、ドイツでは、日本の1階にあたる階は「地上階」と呼び、その上階が1階となる。つまり、日本の2階がドイツでは1階扱いとなるのだ。知っている方には、わざわざ説明することのことでもないが、この階のずれは、ドイツだけではなく、フランスやイギリスでも同じである。欧州のそれ以外の国がどうだったかは意外と思い出せないが、おそらく大差ないだろう。

ドイツで昇降機に乗ると、日本の1階にあたる地上階は「0」表示と表示されていることが多い。あるいは、地上階を示す「EG」と示されていることもあるだろうか。「EG」とは「Erdgeschoss/エルドゲショース」の略である。「Erd(e)」は「地面」、あるいは「地球」であり、「Geschoss」は「階」だから、「地球階」と言えなくもない。ともかく、ドイツに来て、宿泊施設に泊まった際、渡される部屋の鍵に112と書かれていたら、日本式の2階の12号室ということだ。

でも、なぜ日本では、地上階を1階と呼ぶのだろう。私は中国や韓国の事情をまったく知らないのだが、少しだけ調べてみたら、アジア諸国も日本と同じように、地上階を1階と定義しているようである。同様なのがアメリカで、どうも、それ以外の地域では、欧州方式らしい。だから、日本の1階という呼称が、アメリカの1st floorから影響を受けているということではないと思う。あと、イスラム系の国々のことも気になるけれど、そこまでは調べ切れていない。

と、ここまで書いておいて、急に持論を展開するほどのことでもないのだが、もしかして、日本やアジアの国々には、もともと高い建物がなかったために、階数を多く分ける必要性がなかったのかもしれないと思い始めた。隣国の韓国や中国のことまではわからないが、日本も江戸時代までは、庶民の家は、ほとんどが平屋で、その上階があったとしても2階までであってことが大きく関係してはいないだろうか。

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