移動の季節 2013.03.22
夜の八丁堀を歩いていたら、飲み会を終えたところなのか、同じ会社と思われる人たちが歩道に溢れていた。いや、そんなに多くはなかったが、15人くらいはいたと思う。ほんの少しだけ通りかかっただけだから、詳しくはわからないけれど、それでも聞こえて来る会話から、転勤になる人の歓送会だったようである。
「大阪に遊びに来いよ。いつでも待ってるよ」。少し白髪の混じった男性が、部下のような人たちに囲まれている。若い女性が、「今度、行きま〜す」と答えると、「出張で、いくらでも会えますよ」と若い男性が言う。私が通り過ぎるほんの僅かな時間に、その人たちを取り巻くであろう、いろいろな事情が何となく垣間見える。転勤になる男性は単身赴任なのだろうか。そんな余計なことも考えた。
4月まで、もう間もなくである。この時期は新たな生活を始める人が多い季節だ。そして、これから国内を移動する人が増える。20年以上も前、東京に出て来た自分も同じだった。いまにして思えば、何も考えていなかったけれど、東京で始める新しい生活への期待は大きかったように思う。歓送会を終えた人たちに出会ったら、東京で暮らし始めたときのことをふと想い出した。