試用期間 その2 2013.04.06
ここでわかったことは、試用期間というものが、雇用する側だけに都合の良いものではなく、採用された人にも同じ権利が与えられているということなのだ。つまり、一対一の関係に過ぎないのである。社員の入れ替りが激しい会社ならあてはまらないのかもしれないが、試用期間とはいえ、日本の場合、数か月で会社を辞めるとなると、その理由はともかくとして、厳しい視線が向けられることになるのではないかと思う。ただ、それは私の勝手な見方かもしれない。
実のところ、私はドイツの雇用における契約形態については、あまり知らない。カッセルとケルンの事務所にいたが、労働契約について詳細な書類を確認したかどうかも、よく覚えてはいない。だから正確なことは言えないのだけれど、数か月で辞めた同僚を見て気がついたことは、試用期間というものは、会社から見られるだけではなく、社員も会社のことをよく見て、そして試す期間だということだ。要は互いに見られているのである。
いま書いたことは、無論、自分にもあてはまる。ただ、いまやどこの会社にも属していないから、会社と社員という構図にはならないけれど、だからこそ、仕事だけでなく私的なお付き合いも含めて、いろいろな方から、いつも見られていることを意識するし、常にそうでなければならないのだと思う。それは自分をよく見せようと、頑張って格好をつけることではない。自然体でありながら、常に適度な緊張感を持って行動することなのかもしれない。
もしかしたら、これから先も毎日が試用期間だといえなくもない。そんな気持を持ち続けられるかどうかわからないけれど、何だかそう感じたりするのである。
加筆訂正:2013年4月9日(火)