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還流独歩

春遅き北海道 2013.05.18

羽田空港を夕方に発つ便で千歳に向かう。昨年末以来だから、5か月振りである。到着前に機内アナウンスがあった。「先日、札幌でも桜の開花宣言がありました。皆さま、春の北海道を、どうぞお楽しみ下さい」というような内容だった。例年、5月の連休が開ける頃に桜が咲き始めるのだが、今年は過去2番目に遅い13日である。まだ気温が低い日が続くようだから、満開になるのにも時間がかかりそうだ。珍しく空港内で食事を済ませて駐車場へ向かう。やはり寒い。気温は10℃くらいだろうか。

何度となく通った道を、今日も同じように車を走らせる。空が広い。「密」の東京から、「疎」の北海道へ。環境はまったく違うのに、そのどちらも簡単に受け入れられてしまう自分がいる。でも、こうして故郷と呼べる場所があるのは、実に幸せなことなのかもしれないと最近になって、より強く思うようになった。そして、寒さの厳しい北海道に生まれて良かったとさえ感じる。郷里を離れて久しいけれど、こうして戻って来ると、子供の頃に、帯広と釧路で体験したことが、ふと蘇って来たりする。過去の引出しが開くとでもいうのだろうか…。

8月のお盆まで、3か月。この僅かな間に、春と夏が詰まっている。今年は冬が長かったから、穏やかな夏になることを祈る。

掲載日:2014年8月20日(水)

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