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還流独歩

西へ9000km移動 その3 2013.06.19

機内アナウンスで、「到着地、フランクフルト空港の最高気温は32℃との予報が出ております」と告げられる。控えめながら驚きの声が上がった。夕べ、週間予報を確認したら、今週半ばの最高気温は、場所によって35℃近くになるという。ただし最低気温は20℃近いし、週末には20℃までしか上がらず、最低気温も10℃前後まで下がるようだ。慣れているとはいえ、寒暖の差が激し過ぎる。長袖や薄手のセーターを持って来たが、それでも寒いかもしれない。

日本海上空を通過しているときには細かな揺れが続いたが、それ以外は順調な飛行だった。いつもは特別メニューを指定するのだが、今回は普通の機内食にした。「焼き豚の柚子餡かけ丼」と「サワー・ビーフグラーシュ」の二つのうち、前者を選んでみた。予想外にも、焼き豚が何枚も重なっていて、かなり食べごたえがあった。少し薄味だったが、美味しく頂いた。こんな機内でご飯が食べられるのだから、実に有難いことである。

到着したフランクフルト空港は確かに暑かった。飛行機からボーディングブリッジに足を踏み入れた瞬間、熱波に襲われる。東京でも体験したことのない暑さで、渡り切るまでのほんの僅かの時間とはいえ、高温のサウナにいるような感覚だ。建物内に入れば、少しは涼しくなったが、機内で着ていた長袖をすぐに脱いだ。それでも空港内にを歩くうちに汗ばんで来る。でも、この束の間の暑さを楽しむくらいの気持が必要だ。

機内に預けた手荷物の受取り場所に行く。500人近い人が乗っているのに、ここに来ているのは100人ほどだろうか。実に静かである。それ以外の人たちは、ドイツの他の都市か、欧州各国へと乗り継ぐのだろう。午後3時前にフランクフルトに到着するこの便は、東京を出発する時間は早いけれど、その分、乗り継ぎをしても夕方前には目的地に着くから便利である。飛行機を降りたところでまとまっていた団体客は、どこへ行くのだろう…。

フランクフルト長距離新幹線駅は、やはり暑く感じられるが、湿度が低いせいか、逆に心地良くもある。何本か別の電車を見送ったあと、ケルン行きのICE新幹線は定刻に来た。夏至を前にして、夕方だというのに、太陽が空の高いところで輝いている。ICE新幹線が巡行状態になり、時速299kmの表示が出る。アウトバーン3号線を疾走する車を軽く追い抜いて、無事、ケルンに到着した。大聖堂前には人が溢れている。心地良い疲労感に包まれながら、今回も移動が終わった。

掲載日:2014年8月20日(水)

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