師走に再び その2 2013.12.19
こうなって来ると、自分が選んだ席なのに、それに対して妙な苛立たしさを感じて来たりもする。例えば、一つ前の席がビジネスクラスとの境のため、そこにある壁から妙に圧迫感を受けることも気になり始めた。細かいことを言うようだが、個人的には機内を見渡せる後方の席の方が落ち着くということも、今回、良くわかった。
そして、機体が駐機場を離れたあとも、離陸したあとも、まったく理解できない言語の挟み撃ち攻撃は続いた。何とも気になるのは、会話がしばらく続いたあと、これで話も終わりかと思った矢先に、また会話が始まるので、精神的安堵感が得られないのである。例えば電車内で、両脇の人の会話の間に挟まれたら、普通の人は、やはり気になると思う。
そこで私は、受け身状態を脱し、彼らが一体どこの国から来た人なのかを訊いてみることにした。無論、私のつたない英語でである。しかし、それがまったく通じなかった。「英語、話せますか?」。「ノー」。少なくとも、私の質問はわかったようだ。取りあえず訊いてみた。「どちらの出身なのですか…」。答えは「チェ」だった。
チェ? ん、チェコか? それならあり得るかもしれないと思った私は、ドイツ語で「チェコ」示す「チェッヒェン?」と訊いたら頷くので、どうやらチェコの人らしい。食事のときに、彼も私も麦酒を頼んだので、試しに「ナーズドロビエ」と言ったらウケた。やはり中欧の人のようだ。私が言ったのは、「乾杯」という意味である。
ただし、私もいい加減な知識しか持ってないので定かではないが、その周辺の国では、乾杯のことを、「ナーズドロビエ」とか「ナーズダラビエ」というらしい。それはともかく、日本に何日間ほどいたのかとか、観光で来たのかというようなことを英語で訊いたのだが、まったく通じなかった。
私が、「トキオ、オア、キョート? ジャパン? トューデイズ? スリーデイズ? ア・ウィーク? オア・ロンガー?」と訊いた質問の答えは、「モン」だった。さっぱりわからない。でも一か月を示す、「a month/ア・マンス」のことなのかもしれないと思い、「フォー・ウィークス?」と尋ね直したが、それも理解してもらえなかった。会話は、そこで途絶えた。
掲載日:2014年8月20日(水)